顕微授精には固有の問題もある。
しかし、その顕微授精も問題点がないわけではありません。
顕微授精は体外受精の一種ですから、当サイトで述べているような体外受精の問題点はすべて当てはまります。
それに加えて、顕微授精には固有の問題点もあることを考えておかなければなりません。
顕微授精で選抜される精子は、その形態と運動能のみを指標としており、そうして選ばれた精子を強制的に受精させるわけですから、もしその精子の遺伝子に問題があった場合、それが子どもに受け継がれないという保証はありません。
妊娠のメカニズムを考えればわかると思いますが、自然妊娠においては、女性の体内に放出された数億の精子の間で激しい生存競争があり、これに勝ち抜いた1個の精子のみが卵子と受精します。
一番優秀な精子と受精するともいえます。
そこには、自然の摂理によるきびしい淘汰が存在しているわけです。
しかし,顕微授精においては、これらのプロセスはすべて省かれ、人間によって、せいぜい数百の精子の中から選ばれた1個の精子を卵子と受精させます。
最近になって、顕微授精で生まれた子が男の子の場合、男性不妊の形質を受け継ぐ可能性があるのではないかともいわれています。
また、かねてより乏精子症や無精子症の男性に、遺伝子や染色体の異常が高率に存在するともいわれています。
男性不妊が原因の夫婦間での顕微授精では、子どもに遺伝学的な問題が生じる可能性が自然妊娠に比べて高いことは間違いなさそうです。
また、流早産や妊娠中の異常(子宮内胎児死亡や胎盤早期剥離など)の頻度も高いことが知られています。
しかしながら、現状においては、重症の乏精子症など男性不妊の治療には、顕微授精しかなく、これが最善であることはいうまでもありません。
ですから、顕微授精をおこなう医師は、「現状で最も妊娠を望める方法」として顕微授精を紹介するとともに、顕微授精にはこのようなネガティブなデータがあるということもいっしょに話をしてカップルに選択してもらうことがたいせつだと思います。
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